ご自宅の敷地に石積みを作りたい方に向けて、大きなサイズの石の調達の方法と、石積みの基本的なやり方を紹介したいと思います。
この記事で取り上げるのは、セメントなどは使わず、石だけを使用して石積みを作る空積み(からづみ)です。モルタルで石と石の間を埋めていく練り積みではありません。
また、空積みのなかでも石を割ったり削ったりせず、そのままの状態で積んでいく野面積み(のづらづみ)を想定しています。
私は自分が運営しているトレーニング広場で小規模な空積みを数か所作っています。造園屋さんに教えてもらったり、独学で学んだりしながら、組んでは崩してを繰り返しています。
石の調達
どのくらいの高さの石積みにするかにもよりますが、どれだけ低い石積みでも石の長さが15㎝ほどはないと積んでいくのは難しいですし、強度が保てないと思います。高さがある石積みを作るのならば、それだけ大きな石が必要になります。
ただ、石積みが作れるほどのまとまった数の大きな石を個人で調達するのは簡単ではありません。
一般的なホームセンターには20㎝を超えるような自然石は、なかなか販売されていませんし、あったとしても、いくつも買えばかなりの金額になります。
地域の海や川をみると大きな石がたくさん転がっていますが、基本的に海や川から許可なく採るのは法律的にダメな場合が多いです。
私が思いつく集め方は、
①敷地を掘ったときに出てきた石をストックしておく
②地域の人から譲ってもらう
③建設系、土木系、造園系の会社から譲ってもらう、あるいは買う
という3つの方法です。
以下で3つの方法を補足します。
自分の土地で出てきた石はストックしておく
構造物の基礎作りのために土を掘ったり、植樹する際に植穴を掘ったりするときに掘り出す石を保管しておけるスペースが敷地にあるのであれば、ストックしておくことをおすすめします。
掘り出したときは使い道がなくて邪魔だと思っていても、後々、使い道ができるかもしれません。大きな石は邪魔でもあるのですが、いざ必要なときになると、一転、貴重な資材になります。
もちろん、これから集めようとしているときに、敷地を掘り返して探すのは現実的ではありません。どこにどんな石が埋まっているのかは分かりませんし、たくさんの石を掘って探すのは、とてつもない労力です。
日頃からストックしてある石があれば良いのですが、これから集める方には以下の方法が適していると思います。
知り合いに石を分けてもらえないか聞いてみる
農家の方や、山を所有している方は、畑や山から出てくる石を持て余していることがあります。知り合いで農家さんや広い土地を所有している方がいれば、聞いてみると良いでしょう。
自分が住んでいる地域から調達すると、石の質も揃いやすいので、石積みの見た目にも統一感が出やすくなります。
建設系、土木系、造園系の会社から譲ってもらう
建設や土木、造園業を営んでいる方は、土場に大量の石を置いている場合が多いです。
そのなかには、事業でこれから使用予定の資材だけでなく、これまで施工してきた現場から掘り出された、行き場のない石もあります。
そういった石は、場合によっては無料で譲ってくれますし、無料ではなくても、自分で運搬するということであれば、低価格で譲ってくれることもあります。
この方法が最も確実に数を確保できる方法だと思います。
石積みの基本
石積みの基本的な技術や重要な要素、避けたい積み方を書いていきます。
グリ石
石積みにまつわる格言で「一グリ、二石、三に積み」という言葉があるそうです。積み方や石の状態よりも、まずはグリ石をしっかり上手に入れることが大切ということです。
グリ石という言葉は石積みをしなければ、なかなか聞かない言葉だと思いますが、簡単に説明すると、表面に積む主役の石と後ろの土との間に入れる石のことです。積み石にはならないサイズや形の石を使うと良いです。これも日頃から石を集めておいた石を使うのが、コストがかからない方法です。

上の図の大きな石と土の間の、小さな石がゴロゴロしてる部分がぐり石の層です。
ぐり石の役割は大きく2つあります。
①積み石の角度を調整したり固定する
②排水性を良くする
です。
積み石の並び方を見栄え良くするには、積み石の組み合わせだけでは、なかなか全てを思うようにはできません。そこで、積み石の裏に石を入れて角度の調整をするのです。積み石の裏の下に、楔(くさび)のような形をした石を入れると積み石が安定します。

また、ぐり石をたくさん詰めれば積み石の沈み込みも予防できて、強固な石積みになります。
加えて、ぐり石の層は排水層の役割も持ちます。
後ろの土に含まれる水分が上手く排出されないと、石積みが前に崩れたり、積み石が後ろに沈下する原因になりますが、ぐり石層の奥行が大きいほど排水層が厚くなるので、後ろの土の部分が柔らかい土質であれば、ぐり石層はたっぷり確保するのが賢明です。
私が参考にしている書籍によると、理想の奥行は、積み石の奥行と同程度の長さらしいですが、後ろの土の部分が地山を削った部分であったり、石積みの高さ自体が1mにも満たないくらいであれば、そこまで慎重にならなくても良いと思います。

はじめたての頃の僕は、ぐり石層の意味を軽く見て、まともに作っていませんでしたが、石積みをやればやるほど重要さが身に染みてきます。
石積みの基本
根石は半分くらい土に埋める
根石(ねいし)とは一番下の石のことです。土台になる役割があるので、積み石に使う石のなかでも大きい石を選びます。
根石は上の積み石や後ろのぐり石、土の圧で動かないように半分くらい埋めると安心です。根石を置く地面が耕されたような柔らかい場所ではなく、固いことも大切です。
積み石は下から上に向けて小さくなっていくように選ぶ
用意している積み石のうちの大きい石から積んでいき、上に行くにつれサイズが小さくなるようにします。
後ろに傾斜をつけながら積んでいく
地面に対する垂直なラインから若干でも良いので後ろに傾くような角度で積んでいきます。

積み石は前から見て幅や高さより奥行が長くなるように置く
石は正面から見て、奥に長くなるような向きを選んで積んでいきます。積み石の奥行のことを“控え長”というらしいですが、控え長が長いほど強固な石積みができます。
表に出てくる面積を稼ぎたい気持ちから、正面から見て石が横長になる向きで積みたくなるのですが、それだと崩れやすい石積みになります。
上から見たときに下の絵のような置き方にするイメージで作ると丈夫な石積みになります。

石の重心が奥にかかるように置く
積み石が横や前にズレやすい置き方をすると不安定になります。奥に重心がかかる分は、後ろのぐり石が支えるので大丈夫です。
石の細くなっている方が奥になるように積んでいくと後ろに重心がかかることが多いですが、実際に積んでいく過程で確認しながら進めてください。
隣接する積み石全てにできるだけ均等に重みがかかるように積んでいく
これは完璧にはいきません。しかし、これを意識するかしないかで全く出来が変わります。これを意識してできれば、後から説明する積み方のタブーは、認識していなくても自ずと避けることができます。
積み方のタブー
平らな石を垂直・水平に置く
平らで厚みが均一な積み石を立てるように置いたり、地面に対して水平になるように置いたりすると、周囲の積み石と圧を分け合いにくくなります。〇の石が例です。

同じような石を積み重ねる
楽をしてついやってしまいそうになるのですが、同じような形の石を積み重ねるようにすると、周囲の石との嚙み合いが少なくなるためズレやすくなります。1、2、3の石がその状態です。

2つの積み石が支え合う形
これは伝えづらいのですが、石どうしが寄りかかって、石と石とが人という字を作っているような重さのかけ方をしている状態です。下の図では×と×どうしが寄りかかっていて、下の〇の石に圧がかかっておらず、ズレやすくなります。

他のタブーは、はっきりと見た目で分かりやすいのですが、これについては、積んでいる最中には気づかないことが多いです。積んでしばらくしてから気づき、そこから上に積んでいる分を一度崩してやり直すということが多々あります。

正直言って、最初からここまでの説明を覚えて石積みに取り組める方は少ないと思います。実際にトライしながら照らし合わせてみてください。
まとめ
土木や造園のプロに石積みを依頼すれば、それなりの費用になります。また、空積みに関して言うと、実は空積みの技術を持っていない業者も少なくないそうです。
田園風景に見られる空積みなどは、地域の住民たちが代々技術を受け継いで作り守られている場合が多いそうです。
ご家庭の庭に作る程度の石積みであれば、この記事に書いてきたような基本的なポイントを押さえながらやれば、経験がない方でも徐々に上手く作れるようになると思います。
偉そうに語るほど経験があるわけではないですが、石積みはとにかく経験です。回数を重ねるほどに上手になっていきます。状況が許すのであれば、作って崩して作って崩してを繰り返していくと、同じ石を使っていても、はじめの頃より強固で美しい仕上がりになるはずです。
自分だけの石の芸術品を作りましょう!




