筋肉が大きくなると筋トレの効果を感じやすいですよね。視覚で分かると確信が持てます。
ですが、筋肉トレーニングの成果は筋肥大だけではありません。
筋肉が大きくならないと、適切なトレーニングができていないのではないかと不安になることもあるかもしれませんが、一概にそうとは言えません。
筋肉には“筋力”“筋持久力”と区別される性質があり、トレーニングのやり方次第で主に強化される性質が違います。
筋持久力や筋力の向上をメインの目的にしたトレーニングでも筋肥大しないわけではありませんが、筋肥大をメインの目的にしたトレーニングほどは筋肥大効果は望めません。
逆に、筋肥大を目的にしたトレーニングでは、筋力や筋持久力を目的にしたトレーニングほど、筋力や筋持久力の向上は望めません。
しばしば、「自体重トレーニングはウェイトトレーニングに劣る」「自体重トレーニングの筋肉は本物で、ウェイトトレーニングの筋肉は見た目だけの筋肉」といった論争のようなものを耳にすることがあります。
今回は、筋肉の性質の違いをまとめることで、こうした巷に流れる言葉の真実にも向き合ってみたいと思います。
筋肉トレーニングで得る力
筋力
筋力とは、簡単に言うと重量を動かす力といった理解で良いと思います。何kgのものを押せるか、引けるか、持てるかを問う力です。
瞬発的に発揮する力となります。
一般的に、筋力が主に向上するトレーニングは、1~5回が限界になる動作だと言われます。
筋肥大
筋肥大は文字通り、筋肉が大きくなることです。筋トレを始めたての方や筋トレをしない方には、漠然と筋トレの目的は筋肥大だと思い込んでいる方がいます。
しかし、筋肥大は筋トレの目的、あるいは結果の1つでしかありません。
筋肥大を主な目的にする場合、6~15回が限界になる動きでトレーニングをすると良いとされています。
10kgのダンベルを続けて動かすのが10回が限界なら10kgを10回で良いですが、20回動かしても余裕な場合は10回が限界になるように重量を上げる、というふうにすれば筋肥大しやすいトレーニングになります。
インターネット上の筋トレ解説を見ていると、回数の目安を10~12回くらいにしているものを多く見かけます。
それだけ、最近の筋トレの潮流が身体の見た目に重きを置いているということなのでしょう。
筋持久力
筋持久力は筋肉を長時間動かし続ける力のことで、15〜20回で限界になるトレーニングで強化できると言われています。
巷に流れる言説について考える
「自体重トレーニングはウェイトトレーニングほど筋肉が大きくならない」
これはおおむね正しいですが、誤りでもあります。
先の説明をお読みいただけば、なんとなく察しがつく方もおられると思いますが、ウェイトトレーニングは重量を調節できるため、筋力アップ・筋肥大・筋持久力向上といったそれぞれの目的に合わせたトレーニングがしやすいです。
一方の自体重トレーニングは、重量は自分の体重ですから、基本的に重量は一定です。
ですから、例えば自体重トレーニングの定番メニューである腕立て伏せで筋肥大を狙っていても、筋トレを継続的にしていくうちに続けてできる回数が増えていき、30回くらいでやっと限界になるといったことになります。この場合、主に筋持久力が強化されるトレーニングになります。
それでも全く筋肥大効果がないというわけではありませんが、ベンチプレスで常に10回が限界になる重量に調節して行う方が、筋肥大という意味では効率が良いです。
ただし、これは効率の話であって、実際は腕立て伏せだけでボディビルの世界レベルの大胸筋を手に入れている方もいます。
体質も関係あるかもしれませんが、トレーニング方法やトレーニングの総量次第では、ウェイトトレーニングに劣るというわけではないということです。
ちなみに腕立て伏せに拘るのであれば1回あたりの負荷を上げるための打開策がないわけではありません。
腕立て伏せをするときに、脚を椅子や台などの高さがあるものに載せて行ったり、片手腕立て伏せに挑戦したりしてみると高負荷な腕立て伏せになります。
「ウェイトトレーニングでついた筋肉は使えない筋肉」
これはどんな軸で“使える筋肉”と“使えない筋肉”に分けるのかという前提の話になると思います。
たしかに同じ筋体積を持つパワーリフターとボディビルダーでは、ボディビルダーの方が持ち上げられる重量が小さいという傾向はあります。
ウェイトリフティングの競技をする方は、より大きい重量を持つことが目的であるため、筋力を強化することがメインになります。
ですが、ボディビルやフィジークなどの筋肉をデザインする競技をする方にとっては、筋肉の大きさや形こそが“使える”筋肉の物差しになるわけであって、重いものを持ち上げるとか、パンチ力を強化するとか、速い球を投げるためのトレーニングをしているわけではありません。
自体重トレーニーも、懸垂や腕立て伏せには強くなっても、他の競技にその力を100%生かせることができるかと言えばそうではありません。
これは他の競技者にとっても同じで、野球のピッチャーにとって重要な筋肉が、他の競技に重要とは限りませんし、同じ競技である野球においてもバッターに適した筋肉とは限りません。
結局、その競技を上手になるための筋肉かどうかでトレーニングをしているという意味では、筋肥大を狙ってウェイトトレーニングをするのも、球速アップを狙ってボールを投げ込むのも同じではないでしょうか。
ボディビルをしている方に対して、「腕相撲も強いんですよね?」と聞くのは、陸上選手に対して「平泳ぎ上手なんですよね?」と聞くのと同じくらい的外れなことなのです。
筋肥大していなくても筋肉は強化されている~等尺性活動について
以上、筋肥大だけが筋肉トレーニングの成果ではないという説明をしてきました。
最後に、自体重トレーニングをメインにしたトレーニング広場を運営している身として、自体重トレーニングに特徴的な筋肉の動きである、等尺性筋活動について少し言及したいと思います。
等尺性筋活動とは、筋肉が伸び縮みせず重みと拮抗しているときの働きのことを言います。具体的には、体幹トレーニングなどで姿勢をキープするようなメニューで行われています。
等尺性筋活動は、多くの自体重トレーニングでフォームを保つための必要な活動です。
腕立て伏せや懸垂、ディップスでは、メインの大胸筋や広背筋、上腕三頭筋などが伸縮しますが、しっかりとトレーニング効果を出すために、脊柱起立筋や腹直筋などの体幹筋と言われる筋肉群で身体を真っすぐキープする必要があります。
また、自体重トレーニングの発展競技であるストリートワークアウトでは、体幹筋の等尺性筋活動の強靭さが重要な技が多くあります。「人間こいのぼり」の名称で知られるヒューマンフラッグをはじめ、フロントレバーやバックレバーなどの王道技は、強靭な体幹筋がものを言う技です。
ただし、この等尺性筋活動は、筋肥大はあまり期待できない運動です。
通常、筋肥大に効果的なのは、筋肉を伸縮させる動きだと言われていて、特に負荷をかけながら伸ばす動きが有効とされます。
等尺性運動は、見た目では成長している確信を持ちづらいのですが、トレーニングを重ねていくと、キープできる時間やキープの際のフォームの自在度が大きくなるので、それが成長の証拠になります。
そもそも、体幹筋は身体を支えることを大きな役割としている筋肉なので、筋肥大よりも姿勢をキープする機能を強化することが本質的なのではないかとも思います。
長くなりましたが、以上です。筋トレの理解が深まる一助になれば幸いです。
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