色の移ろいがある樹木は見ていて特別な気持ちにさせてくれますよね。紅葉期になると様々な木が葉色を変化させ、趣のある雰囲気を醸し出します。
秋の葉色の変化を紅葉(こうよう)と言いますが、実際には紅色だけではなく、黄色やオレンジ色などのグラデーションがあります。
同じ樹種が並び同じように紅葉していく景色も見ごたえがありますし、異なる樹種が並び様々な色合いのグラデーションが見れるのも贅沢な気持ちになります。
この記事では、庭に紅葉を楽しめる木を植えたいと考えている方に向けて、比較的、庭木として扱いやすい樹種で紅葉・黄葉・茜色の葉が綺麗な樹種をまとめてみたいと思います。
紅葉する木
イロハモミジ

紅葉といえばモミジ。
モミジにも色々な種類がありますが、特に鮮やかな紅葉になるのがイロハモミジです。
イロハモミジの葉は色だけでなく形も独特で、繊細な風情、枝ぶりも他には代えがたい特徴です。鑑賞価値という意味では主役を張るタイプなのではないでしょうか。
樹高も中高木と分類されることが多く、手をつけられないほど大きくなることはありません。
ただし、イロハモミジはカエデの仲間なのですが、カエデ系全般に言えることで、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)の食害を受けやすい傾向があるので、その点は注意が必要です。
イロハモミジを病気や害虫の被害からできるだけ守るためには、強い日光に当たりすぎないようにした方が良いそうです。
一方で、綺麗に紅葉するためにはある程度の日光が必要なので、午前中は日が当たり午後からは日陰になる場所や、他の日当たりを好む木の木陰になるような場所に植えると良いと思います。
ドウダンツツジ

ドウダンツツジは生垣に利用されることも多く、主役的な見られ方はされにくい存在かもしれませんが、私は単体で見てもしっかりと存在感がある樹種だと思います。
特にドウダンツツジの自然樹形は可愛くもありクールでもある佇まいです。紅葉もとても鮮やかで、葉が小さいこともあり、イロハモミジに比べると凛々しい印象です。
ただし、紅葉に染まるのも落葉するのもイロハモミジに比べると早い傾向にあります。
樹高は一般的な家庭の庭では高くなっても2mほどに収まる場合が多いようです。
日照には強く、日に当たりすぎて弱るということはあまり見られないようですが、日当たりが良いほど枝が旺盛に茂ります。
特にドウダンツツジは車枝といって、幹の同じ高さのところから放射状に枝が伸びる生え方や、徒長枝といって枝が天に向かって不自然にニョキーンと伸びる生え方をしやすい樹種です。
繊細な樹形を好むのであれば、他の木の木陰や建物の陰になる場所に植えると良いです。
ドウダンツツジは酸性土壌を好むので、植える際には鹿沼土や未調整ピートモスなどの酸性度が強い用土を使うようにしましょう。
シラキ

シラキは、イロハモミジやドウダンツツジに比べると名前が知られていない印象ですが、紅葉がとても綺麗な樹種です。
葉が大きいのが特徴です。
日当たりに強く、剪定をしなくても樹形が整いやすいので、イロハモミジやドウダンツツジに比べて育てやすい樹種だと思います。
小高木などに分類されることが多く、イロハモミジよりは高くなるポテンシャルを持っているため、陽樹として、他の樹種に木陰を作ってあげる役割もできます。
ナツハゼ

ナツハゼはドウダンツツジと同じツツジ系の樹種ですが、あまり日照は好まないようです。
また、枝ぶりも葉も柔らかい雰囲気があり、加えて、株立ちになりやすい性質もドウダンツツジとは違います。
ナツハゼは初夏から葉色に赤みが入り、秋に紅葉して落葉するまでの期間も長く、イロハモミジよりも長い期間、紅葉を楽しめます。色は深紅というよりは、明るめの茜色の色味があります。葉に細かく柔らかい毛があるのも特徴です。
樹高は低木に分類され、高くても3mくらいだそうです。
「日本のブルーベリー」とも言われており、ブルーベリーのような実がなりますが、酸味が強いため生食よりはジャムにする方が多いそうです。
病害虫にも比較的強く、ギラギラな日光が長時間あたらないように気をつければ大丈夫だと思うので、他の高木や中木の木陰になる場所に植えることをおすすめします。
黄葉する木
クロモジ

クロモジと次に取り上げるダンコウバイは同じクスノキ科クロモジ属の樹種で、しっかりと黄色に染まり、比較的、落葉までの期間が長い印象です。
クロモジは低木に分類されることが多い樹種で、強い日照は避けた方が好ましいようです。
枝や幹の香りが良く、高級ようじに使用されることで知られています。
ダンコウバイ

ダンコウバイは、葉の形が独特な可愛らしい形をしているのが特徴的で、枝ふりも柔らかい趣があります。
クロモジよりも日照を好みますが、樹高は中木の範囲に抑えることができます。
メジャーな樹種ではないと思いますが、庭木として扱いやすく楽しめる木だと思います。
個人的に大好きな樹種の1つです。
アオハダ

アオハダは中高木などに分類されるシンボルツリーとしても人気の樹種です。幹に白斑ができやすいのが特徴です。
枝葉への日照は必要ですが、幹への直射日光はあまり強くならないようにするのが好ましいそうですので、アオハダの周りに低木などを植えてあげると良いのではないでしょうか。
サラサドウダン

ドウダンツツジととても性質が似ている樹種ですが、花の色が違うのと、紅葉ではなく黄葉する点も違います。サラサドウダンの黄葉は、上で取り上げたクロモジやアオハダに比べると、場合にもよりますが、はっきりとした黄色ではなく、赤みも混ざります。
個人的にあまり花が目立つ木が好きではないのですが、ドウダンツツジやサラサドウダンの小ぶりは花は好きで、私はドウダンツツジと並べて植えています。
葉が茜色になる木
紅色と黄色の間のオレンジ色、茜色、橙色のような色合いが特徴的な木もあります。
実際はイロハモミジなどの多くの紅葉する木がオレンジ色を経て赤くなったり、オレンジ色のまま落葉したりします。また、黄葉する木のところで紹介したサラサドウダンなどは、個体や環境によってはオレンジ色と言った方が合う色合いになることもあると思います。
しかし、オレンジ色になってそれ以上、紅色に染まることなく、枝に長くとどまり続ける樹種もありますので紹介します。
個人的には、紅葉や黄葉よりも、この微妙な色合いが好みです。
ヤマコウバシ

“山香ばし”という意味から名前がついたと言われている樹種で、枝を折ると生姜のような香りがするそうです。私もヤマコウバシを敷地に植えていますが、まだ枝を折ったことがないので感じたことはありません。
先に取り上げたクロモジやダンコウバイと同系統の樹種です。
クロモジよりは日当たりに強く、日照条件はダンコウバイと同じような扱いで良いと思います。
落葉樹でありながら、冬に枯れ葉が枝に残って落ちないのも特徴で、“落ちない”ということから受験生にとって縁起の良い木としても有名です。
ジューンベリー

ジューンベリーは実が美味しい雑木として知られていると思いますが、葉色も楽しめます。
ジューンベリーは自然と株立ちになる樹種で、根本から毎年ひこばえが生えてきます。古い幹の落葉は早いのですが、ひこばえを伸ばした新しい幹の葉は割と長く枝にとどまり続け茜色の葉を楽しませてくれます。茜色の葉を楽しみたい場合は、古い幹を切り、新しい幹を残す更新作業を定期的にしていくと良いです。
ジューンベリーは日照条件に特に気を遣う必要はなく、樹高も3~5mくらいの範囲で収まりますし、そもそもが株立ちになる木なので、幹を更新していけば高さは抑えられます。
コハウチワカエデ

コハウチワカエデは、イロハモミジと同じカエデ属の樹木で、性質はイロハモミジと似ていますが、紅葉の具合がイロハモミジよりはオレンジ色に近いです。
葉の形がイロハモミジより小さく丸みがあるのも特徴です。葉の形は赤ちゃんの手のひらのような形と例えられることが多いです。
コナラ

コナラはある程度の日当たりがあれば、病害虫などの気を遣う点は少なく、育てやすい樹種です。幹肌のゴツゴツした皮も武骨でカッコいいですし、葉がオレンジ色に染まると、これぞ雑木という雰囲気を出してくれます。
ただし、コナラはどんぐりを落とす樹種で、鹿や猪、たぬきやハクビシンなど、野生の獣が生息する地域で暮らしていると、庭に呼び寄せる要因になるので、その点は躊躇する部分です。
まとめ
紅葉、黄葉、その中間色の葉と分けてまとめましたが、上でも書いたように、実際は多くの樹種が紅色から黄色のグラデーションの中にあり、“○○色”と、はっきりと区別するのは難しいこともあります。
今回取り上げた樹種以外にも、紅葉や黄葉が楽しめる樹種はたくさんありますが、この記事では私が実際に自分の敷地に植えている樹種を取り上げました。運営している野外トレーニング広場に植えているのは、他にもメグスリノキ、ヒメシャラ、ヒュウガミズキ、アオダモ、常緑ヤマボウシなどがあります。
新緑から紅葉、落葉後の樹形、色々な木の姿を味わうことができるのは、四季折々の日本に暮らす私たちの特権ではないかと思います。色々な樹種を自分なりに組み合わせてオリジナルの木々の景色をデザインするのってワクワクしませんか。
この記事が庭木を選定中の方の参考になれば幸いです。
イロハモミジやコハウチワカエデなどのカエデ科の木を植える予定の方は、カミキリムシの食害対策についても知っておいてください。
植木のインターネット購入を検討している方は、こちらの記事もご覧ください。私が実際に色々なショップで購入してみた結果のおすすめの植木屋さんも紹介しています。
植木を選定中の方に向けた別の記事もあります。よろしければご覧ください。








