この記事では、石積みの工法である空積みと練り積みのそれぞれの特徴をまとめてみたいと思います。
空積みとは石だけを使用して作る石積みで、練り積みとは石と石の間や、石の裏をモルタルやコンクリートで埋めて作る石積みです。
石積みの経験や知識が少ないうちは、「石だけで作る方が簡単」「モルタルやコンクリートを使った方が丈夫になる」といったイメージを抱く方も少なくないと思います。
結論から言うと、一概にはそうとは言えません。
空積みは安全で綺麗な仕上がりを追求するほどに手間と技術が必要になりますし、そうして上手に作られた空積みの石積みは、場合によってはセメントを使用した石積みより壊れにくい石積みになります。
とりあえず空積みをしてみて、思うようにならないから後から練り積みにすることはできますが、反対に、練り積みをした後に空積みに作り替えるのは簡単ではありませんので、それぞれの特徴を理解して、後悔のない選択をして欲しいと思います。
ちなみに私は自分が運営しているトレーニング広場にDIYでいくつかの石積みを作ってきました。石積みを作るにあたり、書籍で調べ造園業者の方から教えてもらったことと自分の経験をもとに書いていきます。
空積み
メリット
野趣がある
石だけで組まれた雰囲気は、練り積みのいかにも人工的な見た目にはない野趣があります。
空間にセメントがあるのとないのとでは、大きく雰囲気が変わるので、自然な雰囲気が好きな方には重要な要素になります。
庭などに自分で石積みを作ることを考えている方にとっては、自分で試行錯誤して作った空積みの石積みは、単なる土留めというだけでなく、それ自体に鑑賞価値が生まれると思いますので、とてもおすすめです。
排水性が良い
石積みの多くは土を留める目的で組まれます。土を留めるということは、場所によっては雨をたっぷり含んだ土を留めることが求められます。
もちろん、たっぷりしっかりコンクリートやモルタルを使用した練り積みは強度があるため、ちょっとやそっとで壊れることはありません。しかし、排水性という点では空積みの方が優れる場合が多いです。
セメントで隙間を固めないため隙間から排水できるのはもちろん、丈夫な空積みは、表面に積む大きな石たちと土の間にたくさんの小さな石を入れて作られます。表面の大きな石の層の裏に小石たちの層があるということです。
この層が排水や土の圧を分散させる機能を持ちます。表面の石の裏に入れる小さい石のことを“ぐり石”というのですが、このぐり石をたくさん入れることが、丈夫で長持ちする石積みを作る大事なポイントになります。
作り直しができる
空積みであれば、石積みを組んだ後に仕上がりが気に入らない場合や、石積みの位置や長さを変えたい場合に形を変えたり組み直しができます。
モルタルやコンクリートで固めてしまうと作り直しが容易ではないので、後で後悔する可能性がある場合には空積みを検討したほうが良いかもしれません。
環境にやさしい
自然にある石だけを使用するため、セメントを使用する練り積みに比べて環境への負荷がありません。作り直す際にもモルタルやコンクリートの廃棄物が出ないので廃棄にかかる様々なコストが発生しません。
デメリット
時間がかかる
安全で丈夫な空積みで作るのであれば、石の向きや組み合わせなどが大事になります。
石を積んでいくときに、石どうしの良い組み合わせが簡単に見つかることばかりではありません。多くの場合、何度も石を替えては試し、替えては試してを繰り返すことになると思います。
プロであっても100点の石積みはできないと言われているくらい、「完璧だ」と思う仕上がりにはなりませんので、時間や体力との折り合いを計りつつの作業になります。
隙間から土が出てくる
どれだけ完成度が高い石積みでも、時間が経つうちに、裏の土が石の隙間から表面に出てくる可能性があります。
土が出てくるのをできるだけ予防するためにも、さきほど書いたグリ石をたくさん詰めることが有効になります。
練り積み
メリット
石組みの完成度が低くても土留めとしての機能は果たせる
モルタルやコンクリートを使えば、石を丁寧に組み合わせる根気のいる作業を省略しても土留めとしての機能は果たせます。
つまり石積みの技術や、石の組み合わせを探す粘り強さがなくても、れっきとした石積みに見えるものが作れるということです。
そのため、街中にある石を使った壁には、石積みというより、“コンクリートに石が入っている壁”と表現した方が適したような壁がたくさんあります。
作業性は効率が良い場合が多いので、空積み特有の雰囲気などにこだわらないのであれば、便利な方法です。
土が表面に出にくい
モルタルなどが上手に施工されておらず、脆く崩れたりしていれば話は別ですが、石と石の間がモルタルやコンクリートでしっかり埋まっていれば、裏から土が出てくることはありません。
そのため、隙間から草が生えるのも予防できます。
デメリット
排水性が悪い
空積みと比べると排水性は劣ります。空積みであれば石の隙間からの水分の排出や蒸発がありますが、隙間がモルタルやコンクリートで埋まっていると、水分も土と一緒に留められるような状態になります。
大雨が降れば、大量の水分を含んだ土の圧はとても大きくなります。セメントで固めているからといって完全に安心はできません。実際に、コンクリートで作られた擁壁などが崩れる事故はたくさんあります。
練り積みであっても、ぐり石層などの排水性を高める部分をしっかりと作っておくと安心です。
セメントのコスト
言わずもがなではありますが、モルタルの購入、運搬、施工のコストがかかります。
しかし、空積みを丁寧に仕上げていくのにかかる時間や体力のコストに比べれば安く済むことも多いと思いますので、この点は特にデメリットとはならないかもしれません。
まとめ
以上、空積みと練り積みの特徴を挙げてみました。
高さが50㎝にも満たない程度の石積みであれば、あまり難しいことは考えず、見た目の好き好きや作業の効率性などで選択しても問題ないと思います。
そもそも家庭の庭に高さ50㎝を超える石積みを自分で作るケースは稀だと思います。また、公道に面する部分など、石積みが崩れたら周囲の迷惑になる場所には、DIYで石積みを作るのは控えた方が良いでしょう。
石を使用する庭造りについては他の記事もあります。よろしければご覧ください。




